新聞記事は永遠に

「ペンは剣よりも強し」(The pen is mightier than the sword)とは、文章で表現される思想は世論を動かし武力以上に強い力を発揮するという意味である。これまで日本では「ペン」の部分を特に大手新聞が担い大きな力を発揮してきた。大手新聞は、「メニュー表記偽装問題」などの「不祥事」・「偽装」・「汚職」摘発に関する記事により、社会を健全な方向へ導いたと言える。この「不祥事」自体は日本の誰かを貶めることに繋がり、謙遜的かつ(敗戦から醸成された)自虐的な国民性からも、受け入れやすいものなのだろう。

●新聞協会賞受賞作(新聞全体の信用と権威を高める活動促進を目的)

http://www.pressnet.or.jp/about/commendation/kyoukai/works.html

 

ただ、インターネットの普及もあって、行き過ぎた「不祥事」探しの危険性に徐々に気付きだしている。特に(終戦から46年が経過した)1991年の朝日新聞の「強制連行された従軍慰安婦」に関する記事は、その真偽が疑わしい一方で、米国グレンデール市に「慰安婦像」が立てられるなど、日本社会に対して大きな影響を及ぼした。テレビで日本を賞賛する番組が最近多くなってきたのは、自虐性に対する危険性に気付きだしたことも関係しているのではないだろうか。

 ●J-CASTニュース:東大生から見放された朝日新聞 今春「入社ゼロ」に幹部ら衝撃

http://www.j-cast.com/2014/04/18202623.html

 

また、新聞による世論操作と疑われかねない事案も問題だ。民主党が2009年に政権を獲得する際は、当時の麻生首相に対する「漢字の読み間違い」や「カップラーメンの値段」「バー通い」など、庶民感覚の違いを大きく記事にして政権交代の意識醸成に大きく貢献した。最近では日本経済新聞による法人税率引下げが連日記事になっている。大企業に目を向けている日本経済新聞は、以前に、「巨額の政府の債務」を理由とした消費税の引き上げを強力に推進していたが、その日本経済新聞の思惑どおりに消費税増税となった(この政府の債務は現状のインフレ率では何ら問題ない水準であるにもかかわらずだ)。

一方で、今しきりに記事にしている法人税率引下げについては「巨額の政府の債務」には基本的に触れていない。これは巨額の政府の債務があるので、まずは消費税引き上げで国民に負担させて、その後に法人税率を引き下げるという手順で、結局は大企業のための法人税率の引き下げが主たる目的なのだろう。また、日本経済新聞はTPPについても強力に推進、安倍首相のTPP交渉に参加を促し、また、TPPの良い面のみを述べてTPP妥結に向けた援護的な記事を量産している(TPPで大きな恩恵を受けるのは大企業だ)。 

ZAKZAK: 消費増税へ強引な世論誘導極まる日経 「8割が否定的」を「容認7割超」に

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130830/ecn1308300732000-n1.htm

 

冒頭の「ペンは剣よりも強し」はそもそも、イギリスの小説家リットンの戯曲「リシュリュー」における主人公の、 国家に反乱を企てる輩に対していつでも死刑執行命令にペンでサインが出来るんだぞという脅しからきているとのことだ。大手新聞はその自身の権力・責任を認識し、自身が推進したい内容だけではなく、不利な情報も含め、読者に判断を委ねる記事づくりをしてほしいと願う。

また、読み手もインターネットの普及により力を持ちつつある。永遠に残る過去の新聞記事から、大手新聞の事実に対する報道姿勢をよく認識して積極的に提言していくべきだろう。その意味で、消費税率の8%への増税やTPP交渉参加に対して日本経済新聞が大きく推進・関与したことを忘れるべきではなく、どれだけ大企業以外の生産者・労働者・消費者の生活・経済を破壊したのかということも含めた日本経済への影響により評価・判断すべきなのだ。

 

 (この文章は、今後通知なく修正される可能性があります)