ハイパーインフレーション(経済)

1923年のドイツでは、第一次世界大戦後の賠償問題でルール工業地帯が占領され供給能力を失ったこと(モノ不足)や、中央銀行が貨幣の大量供給(中央銀行の暴走、連合国に乗っ取られていたという話も)したことにより空前のハイパーインフレが発生。100マルクだった1個のパンが1兆マルクに上昇した。

ドイツのハイパーインフレの原因と収束方法(No.30): 日本経済復活の会

なお、ハイパーインフレーションは心理的な要因も大きいと思う(推測)。

 ・供給能力を失いモノ不足になった場合、モノの価値(物価)は上がる要因はあるが、一方で景気が悪くなるのでモノを買わなくなるので物価は下がる要因もある

 ・ 仮にパンが100万円(最終的に1兆円)になったら、お金の価値がなくなりつつと国民は認識するだろう。そのため、あっても意味のない貯金を全部使ってモノに変えるという行動が発生する。そのうえで欲しいものは物々交換する。(このときGDP(カネの流れ)は増加していたはず。ただ、コツコツ貯めたおカネが意味がなくなるというのは恐ろしい世界だ。20年以上前から物価の変わらない日本では考えられず、仮にハイパーインフレーションが起これば、現在の勝者である高齢者(貯金が多いという意味)は一気に窮地に陥るだろう。)

心理的要因だったのは、デノミ(1兆マルク=1レンテンマルク)でインフレが急速に収束してることからも分かる。

 

では、日本でもハイパーインフレーションは起こるのだろうか。

ドイツ以外のアルゼンチンやジンバブエハイパーインフレーションを見ても、モノ不足と大量の貨幣供給(銀行の貨幣印刷・国債購入、財政ファイナンス、マネタイゼーション)のセットで発生しているものだ。そうであれば、現在言われている国債残高のみではハイパーインフレの判断材料にならない。

なぜなら、国債発行は、誰かからおカネを借りて、おカネを別の人に回すだけで、なんらおカネ自体は増えていないのだ。。借りた金は、政府の負債として残るので、これをどれだけ日銀が購入するか(財政ファイナンス)が問題であり、そしてそれらを見ればハイパーインフレーションの懸念はないと言えるのだろう。(国債残高を各国比較で見ても見てもあまり意味がないので、国債価格の下落(金利上昇)にはつながっていないのだ。全額が財政ファイナンスされた場合の貨幣量で評価すべきだろう。)