財政政策におけるタカ派
〇金融政策において、金融引き締め(利上げ)賛成派を「タカ派」、金融緩和(利下げ・量的緩和)賛成派を「ハト派」という。
タカ派 | ハト派 | |
意味 | 強硬的な政治信条を持つ人や集団 | 平和的な手段で問題を解決しようとする人や集団 |
経済 | 経済状況にたいして強気なスタンスであり、利上げ賛成派 | 経済状況にたいして慎重な見方をすることや、利上げ反対派 |
代表的なFOMCメンバー | プロッサー総裁 フィッシャー総裁 |
イエレン議長(FRB) バーナンキ前議長 |
タカ派・ハト派とは?|FX用語集 | FX初心者入門|みんなの外為
〇金融タカ派として有名なのはポール・ボルカーFRB元議長だ。「インフレファイター」と呼ばれた彼は、政策金利を急上昇させ、1980年に12%を超えていたインフレ率を3年後に3%まで低下させた実績を持つ(ただし、失業率が11%に上昇するなどの副作用を伴った)。
〇一方、ベン・バーナンキFRB前議長は、過去に日本のバブル崩壊後の金融政策が生温いことを批判、ヘリコプターからおカネをばら撒けばよいと発言してヘリコプターベンと揶揄された金融ハト派であった(ただし、リーマンショックに対する金融緩和の出口戦略(タカ派的戦略)では、バーナンキショックを起こしている。)。なお、アベノミクスでは量的緩和を推進しており、金融ハト派政策だ。
株・債券急落、円高巻き戻し… 市場を混乱に陥れた“バーナンキ・ショック” | News Inside | デイリー・ダイヤモンド
〇金融政策と同様、財政政策についても、消費税増税・財政支出抑制を主張するタカ派と、減税・財政出動を主張するハト派に分かれるのではないか。この分類では、財務省をはじめ、ほとんどの経済学者、アナリスト、マスコミはタカ派、消費増税を推進・(財政出動を唱えながら)公共事業を増やさないアベノミクスも財政タカ派と言える。
タカ派 | ハト派 |
経済状況にたいして強気なスタンスであり、増税派、財政支出否定派 | 経済状況にたいして慎重な見方をすることや、減税派、財政支出容認派(公共事業支出増を容認) |
縮小的な財政政策 | 拡張的な財政政策 |
新古典派 | ケインズ派 |
〇ハト派の主張する公共事業投資は、次の点で疑問視はされている。
①支出が有効活用されない(無駄な支出となる)可能性がある
②根本的な解決策となっていない(企業の延命策である)可能性がある
③経済への効果が小さい(公共事業は乗数効果が小さい)可能性がある
その他にも、政治との相性の悪さ(景気が良いときに公共事業を引き締めるのは難しい)、公共事業で海外企業を利用するなどの自国の経済活性に使われない可能性があること、議会手続等があるためタイミングが遅いこと、などがある。
〇公共事業に上記のようなデメリットの可能性はあるにせよ、景気対策として、財政タカ派と同様に議論されるべきであるが、専門家である経済学者や経済新聞は、日本経済の為ではなく財務省の政治力に屈して、議論しない。そういう意味で財政タカ派一色の日本経済新聞を読むと暗澹たる気持ちになるのだ。