一次不定方程式
一次不定方程式で、整数論の基礎的な部分を学べるのでまとめてみた。次の(1)~(4)は本質的には同じだ。
(1)次の一次不定方程式の整数解をすべて求めよ。
(2)次の直線の通る格子点をすべて求めよ。
(3)の解を求めよ。
(4)の解を求めよ。
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(1)の形式で出題された場合はひとつの解を求めて解くことができる(仮に係数が大きい場合でも互除法で必ず一般解は求まる(当然、解の存在する場合(右辺の値が、係数の最大公約数の倍数となっている場合)))。
適当に見つけた解()を入力したから①を辺々引けば、となる。7と10は互いに素なのでは10の倍数となり、(は整数)とおけるので、となり、結局、(1)(2)の解答は次のとおり。(が10減って、が7増えても与式の左辺の値は変わらない。)
\[ \left( \begin{array}{c} x \\ y \end{array} \right) = \left( \begin{array}{l} \ \ 3 \\ -2 \end{array} \right) + \left( \begin{array}{l} -10 \\ \ \ 7 \end{array} \right) s \ \ \ (sは整数) \]
(3)は なので下一桁を見ればよい。九九表の7の段(カッコ書きは下一桁)を見れば、下一桁の数値がすべて異なっているのが分かる(これは7と10が互いに素だから。1、3、9の段も下一桁はすべて異なっている。なお、1、3、7、9は剰余類Z/10Zの乗算で群をなす。なお、群は閉結単逆を満たせば良い(閉じていて、結合法則が成り立ち、単位元、逆元がある))。ここで なので、1桁目が1となっているのは3のときでそれが答(すなわち、であり、)
(九九表)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
2 | 4 | 6 | 8 | 10 | 12 | 14 | 16 | 18 |
3 | 6 | 9 | 12 | 15 | 18 | 21 | 24 | 27 |
4 | 8 | 12 | 16 | 20 | 24 | 28 | 32 | 36 |
5 | 10 | 15 | 20 | 25 | 30 | 35 | 40 | 45 |
6 | 12 | 18 | 24 | 30 | 36 | 42 | 48 | 54 |
7 (7) |
14 (4) |
21 (1) |
28 (8) |
35 (5) |
42 (2) |
49 (9) |
56 (6) |
63 (3) |
8 |
16 | 24 | 32 | 40 | 48 | 56 | 64 | 72 |
9 | 18 | 27 | 36 | 45 | 54 | 63 | 72 | 81 |
〇オイラーの定理を使って解く場合、まず、オイラー数とは、「nより小さい自然数の中でnと互いに素なものの個数」であり、上で述べたとおり、(1、3、7、9の4つ)である。ここで、オイラーの定理は次のとおり。
がと互いに素の場合、
7と10は互いに素なので、となり、と求まる。
(4)は であるが7は素数なので、原子根が存在する。7の原子根は3であり、1~6はそれぞれ3の累乗で表せる。 は に対応する。オイラーの定理で解いた場合とおなじであるが、となり、と求まる。
(参考)(7と10ではなく、) 3と5の場合のイメージ