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杞の国の人たち

上記記事では、広瀬氏は、「日本の場合も、われわれの貯金が戻ってこないリスクがある」、すなわち財政破綻の懸念を述べています。その中で「ボクのおカネは、キミのおカネじゃない!だから僕に無断で投資先を決めないで!」との記載は、日本にはまだあてはまらないと思います。それは、多くの日本人は株式に直接投資しているのではなく、預金をしているからです。そのため、少なくとも元本が保証されれば、その銀行が何で運用しようが、あまり気にしないと思います。今後、日本人の金融リテラシー(金融に対する理解度や活用能力)の上昇などで、直接金融が増えてくるのかもしれませんが、バブル崩壊リーマンショックのトラウマもあって、そう大きくは増えないのではないかと思います。

 

財政破綻のイメージは、金利上昇です。金利上昇とは、日本国債の価値が下がる、すなわち、日本国債を皆が買わなくなるということです。われわれのお金の使い道としては、①消費する、②タンス預金する、③預金する(銀行が国債等を買う)、④投資する(国内株・外国株・外国通貨・不動産・金を買う)があります。この国債の財源になっているのが③の預金であり、「国の借金増加」により日本国債のデフォルト懸念(信用不安)による取り付け騒ぎから、③の預金から②のタンス預金や④外国通貨等に移し替えることで、金利が上昇するだろうというのが財政破綻者の理屈です。

 

ただ、理論的には自国発行の債券である日本国債のデフォルトはありえません。デフォルトは償還額を支払えないということですが、日本銀行で紙幣を刷ればいくらでも支払うことができ、極論すれば、今でも政府の借金もすぐに消すことができます(日銀に借金を移し替え、紙幣発行による負債に変わるイメージ)。現在の異次元の量的緩和(年80兆円の日銀の国債購入)により、(新規の発行を除けば)その購入分だけ、政府の借金は減少してきています。そのため、考えるべきは、政府の借金だけではなく「日銀の借金(発行紙幣)」と「政府の借金(国債残高)」の合計が重要で、それが大きいのか小さいのかは、「金利水準」(経済成長+通貨の信認)と「インフレ率」(モノと通貨の価値の対比)で相対的に測れるということになります。

http://www.nli-research.co.jp/report/pension_strategy/2013/vol206/str1308b.pdf

現在の低い「金利水準」(すなわち信認が高い)、低い「インフレ率」(通貨が高い)からすれば、まだまだ国債発行は可能、財政支出は可能という判断ができます(通貨の価値が高いので通貨の価値を落とす⇒物価を上げる)。すなわち、デフレでモノよりも通貨の価値が上昇した日本は、金融政策・財政政策の余力が生じていると考えられます。成長のため、政府による様々な投資が可能であり、今の安倍政権財政再建よりも経済成長を優先させたのは望ましいと考えています。

(今後、更に財政支出を実施して、どこかで金利、インフレ率が上昇(通貨が物価に対して価値が下がる)すれば、財政支出の抑制が必要となってきます。)

なお、金融政策・財政政策は、簡単に言えば次のとおり。

・金融政策=「銀行の国債」を買って、「カネ」を渡すこと

・財政政策=「民間企業の労働力」を買って、「カネ」を渡すこと

      または、「国民からの税金」を引き下げ、「カネ」を渡すこと

 

最後に、広瀬氏の記事に対して反論しているように見えますが、一般の日本国債財政破綻に対する反論ということです(広瀬氏のブログは愛読しています)。