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生産性の向上とデフレ

〇企業は、消費者ニーズに応えるため、また、利益を上げるため、「安く早く便利にモノを提供する」ように努力してきた。付加価値のある新しいものの開発(結果、モノの価値は上昇)も企業の目的であるが、時間がかかりリスクも高い(可能性は低いが成功した時の収益は大きい)。この安く早く便利にモノを提供するという生産性の向上は、モノの価値を下げるとともに労働の価値も引き下げることにつながる。少ない人数(労働)で多くのモノを提供できるため、これまでと同じだけのモノを提供するのであれば、必要な労働は減ることになる(労働単価は上がる可能性はあるが、労働時間は短くなり、トータルで減少)。

〇自由競争に基づく企業活動は、本質的にデフレ化を促進するものなのだ(一定程度市場飽和、かつ、労働力が豊富にあるという前提であるが)。セブンカフェでは、スターバックス並のコーヒーが100円で飲める(スターバックスでは300円程度)のはデフレ促進の恩恵だ。デフレが問題なのは消費者ではなく、労働者なのだ。その労働者に対し、アベノミクス法人税を大幅に引き下げても、生産性の向上や賃金の下方硬直性(景気悪化時に賃金を下げられないこと)を意識し、企業は賃金の本格的な引上げには慎重だ。

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〇経済の本質は、需要と供給だ。消費者が購入したモノ(需要)と企業が販売したモノ(供給)は基本的に等しくなり、この総需要(買ったモノの合計=総供給(売ったモノの合計))が大きくなれば景気が良くなったという判断になる。また、需要と供給が等しいことから、どちらかの小さい方で抑えられ、どちらがネックなのかでデフレ・インフレが決まる。現在はデフレで、上で述べた企業が供給力を増やしてきた影響も大きいと思う(潜在的な供給が需要に比べて非常に大きい)。また、欧州がデフレ化の気配を見せているのも、生産性の大幅な向上が原因ではないだろうか。

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〇需要が先か供給が先かは、「供給がそれ自身の需要を生む」(セイの法則新古典派経済学)と「需要がそれ自身の供給を生む」(ケインズ提唱)の2つある。セイの法則では、例えば工場を建てるなどの供給を増やすことが、需要を生むということだが、景気後退をうまく説明できない。ケインズでは、不況時の景気回復には需要喚起のための公共事業が有効であるが、結果的に非効率な支出(いわゆる無駄遣い)となるとの指摘から、一般的に支持されていない(ただ、いわゆる箱モノ投資は無駄だが、災害対策のための公共投資は非常に有効だと思うのだが)。いずれにしても、現在のデフレで需要がネックになっている状況では、需要を増やすことが、景気改善につながることとなる。

 〇アベノミクスの第1の矢である(日銀の金融政策である)量的緩和は、銀行が企業にカネを貸しやすくするもので、潜在供給を増やすものだ(その後、賃金上昇で家計にカネが回って需要が増えるが時間がかかる)。本気でデフレ脱却したいのであれば、需要増加しかなく、それには消費税据え置き(もしくは引下げ)が本当の対策だし、消費税を引き上げるというのは政府は本気でデフレ脱却したくないってことなのだ。

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