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リカードの比較優位

リカードの唱えた比較優位とは、各国が得意な分野に特化することで、全体の享受できる利益が上がること。TPPなどの自由貿易を推奨する根拠になっている。

比較優位 - Wikipedia    

交易の利益(富山大学)

 

〇この比較優位は、数学で言えば、2直線の高さ(絶対優位)ではなく、2直線の傾き(比較優位)が重要ということである。次のモデルを考える。

・A国とB国は貿易しておらず、ともに車と米を生産。

・A国で車5台、米5kg生産していて、車の生産を1台増やせば、その分、米の生産が1kg減る。また、B国では車3台、米3.2kg生産していて、車の生産を1台増やせば、その分、米の生産が1.6kg減る。

・すなわち、A国は車だけ作れば10台、米だけ作れば10kg。B国は車だけ作れば5台、米だけ作れば8kg生産できる。グラフは次のとおり。A国はB国に対して絶対優位(A国の高さが高い)である。

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・ここでA国とB国が貿易を行った場合、生産を減らしても貿易で商品を融通できる。A国が車1台増やして、B国が車1台減らせば、A国とB国の合計で車の生産量は変わらない。しかしながら、米の生産量は合計で0.6kg増加する(=A国の米の減少1kgとB国の米の増加1.6kg)。(これは2直線のそれぞれの点から、左右分かれて高い方に進むイメージ)

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・A国がもっと車の生産に、B国がもっと米の生産にそれぞれ特化すれば、1つの解として、車9台(A国9台、貿易前は8台)、米9kg(A国1kg、B国8kg、貿易前は8.2kg)と、これまでの合計の生産量を上回ることが可能だ。

 ⇒絶対優位性にかかわらず、比較優位なモノに注力することで、合計での生産量が増える(消費量が増える)。すなわち、貿易により、各国が得意な分野に特化することで、全体の享受できる利益が上がることになる。

 

〇このリカードの経済モデルでは、単純化したモデルなので当然のことながら現実とはあっていない。最もあっていないと感じるのは、収益性を考慮しない部分だ。国の生産を担うのは大部分が企業であり、企業は収益性(利益)を中心に行動する。先ほどのモデルでは車1台と米1kgとは比較できないが、企業の論理では比較できる。すなわち、どちらがどれだけ利益が出るかなのではないか。

・1980年代の中国における繊維業の特化は、リカード比較優位で説明される場合もあるが、人件費が安いことによる収益の優位性による企業の論理だ(企業の理論は「何かもうかるのか」ということ)。

 

〇日本国内の都道府県間は、自由貿易だ。リカードの理論ではなく、都道府県における収益優位が働いて今の生産状況になっているのだろう。 

 

自由貿易では、企業の論理に基づき、その国の中で他国に対し相対的に収益性・生産性の低い業種は淘汰され、寡占・独占が進むということを意味する。生産性が高まることで大企業は更に強くなり(TPPのメリットを享受)、貧富の差を更に拡大させていくのだ。