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竹中平蔵氏と能力主義

〇竹中氏は、1日放送の「朝まで生テレビ!元旦スペシャル」(テレビ朝日系)で、「正社員をなくしましょう」と発言した。分かりやすい人だ。

竹中平蔵氏「正社員をなくしましょう」「全員正社員にしようとしたから大変なことになった」 - ライブドアブログ

恐らく、竹中氏は、頭脳明晰かつ相当な努力家な分、能力が低い若者が努力もせずのうのうと暮らしていることに対し苦々しく感じたのが原体験(ひどいトラウマか?)なのだろう。こんな能力のある自分が努力しているのに世の中不公平だ、能力がなく努力しない若者は貧しくあれ、か。

〇竹中氏の考えでは、能力主義の世の中が、平等で公平な世の中なのだ。高所得者が多く税金を支払う累進課税は不平等そのもので、消費税が公平な租税だ。ただ、公平な世の中は格差を生じさせ、公正ではない(下図左)。

Equality does not always mean justice, don't always look to be "equal" with someone else. Try to establish justice and what is r
Equality does not always mean justice, don't always look to be "equal" with someone else. Try to establish justice and what is right with impartiality. - Imgur

 

〇また、この能力主義は、グローバルと親和性が高い。経済を中心(悪く言えば「おカネ」中心)に考え、効率性を追求、非効率をとことん排除する。変化が大好きで、小さな政府を理想とし、官から民へを目指す。格差は当然のことで、労働者をコマとしか見ない。能力が高ければ良い暮らしができ、能力が低ければ貧しくなるのが当然。ただ、金持ちからの「おこぼれ」がある(トリクルダウン理論)ので、貧しいからと言って悲観する必要はない。

〇この能力主義は、もともとエリートの概念(主従関係)のあるトップがものごとを進める欧米に馴染む。トマ・ピケティ『21世紀の資本』が資本主義での格差を題材に欧米でもてはやされた。日本であまり話題になっていないのはそれほどの格差(経営者が何十億円の報酬をもらうなど)が日本では生じていない証左だと思う。

  

〇ただ、今の日本が進んでいるのは、(竹中氏の推す)おカネでものごとを考える能力主義、格差容認、グローバル化だ。これは、アベノミクスによる政策(消費税増税等)だけではなく、労働者重視(ボトムアップ)からトップダウンでの経営者重視(ユニクロ柳井社長など社長で企業が変わる)に変わってきたことや、ブラック企業等の労働者の権利意識の高まりに伴う勤勉さの低下(仕事は上司の指示通りやるだけで良いなど)の可能性などの要因も考えられる。

格差社会の処世術 - Market Hack

ブラック企業は当然、責められるべきであるが、能力主義がこれ以上進まないためにも、過度な権利要求は禁物だ。経営者は労働者のことを家族・生活をふくめて十分思いやるとともに、労働者もこれまでの日本の能力主義を抑えた公正な社会を維持するために、おカネや効率だけはなく、仕事に対する勤勉さ、誠実さや責任感を維持していく必要がある(また、労使の対話も重要だ)。おカネ(経済)中心でものごとを考えると世の中おかしくなる。竹中氏が少年時代に経済学者を志したきっかけとなった「世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」という「経済」の語源そもそもの意味(経済とはおカネが由来ではない)を改めて考えてほしい。

 

(参考)

竹中平蔵氏「日本の正規労働ってのが世界の中で見て異常に保護されている」の大ウソ(井上伸) - 個人 - Yahoo!ニュース