人口減少ボーナス

〇人口オーナスのオーナス(onus)とは、「重荷、負担」という意味。働く人よりも支えられる人が多くなる状況である。日本では、少子高齢化が顕著になってきた90年頃から人口オーナス期に入ったとされる。 

http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/014_04_00.pdf

 

〇生産年齢人口(15~65歳)の人口割合の各国年次推移(G20、1990~2014年)は次のとおり。日本は、他国に比べ生産年齢人口が急減している。なお、この急減は、日本の死亡改善(長寿化)が他国よりも良好なことによる高齢者割合の上昇も要因のひとつ。

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〇若年齢層(15歳未満)の人口割合の各国年次推移は次のとおり。日本は、低下傾向だが急減してはない(ドイツ、イタリアと同水準)。先進国の割合は、全般的に低下傾向。

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(参考)主なアフリカ諸国の若年齢層の人口割合は次のとおり。多くの国は40~50%程度と高い水準を維持。

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〇女性の活躍がアベノミクスに掲げられている。女性の割合の各国の年次推移は次のとおり。日本も含め全般的に女性割合は50%程度。

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〇日本では生産年齢人口が減少していくのは事実だ。このため、日本で経済成長させていくためには、生産性の向上が必要とされている。この「生産性の向上」は「仕事が減っていく」ということだ。ロボットが受付をする「変なホテル」は、世界一生産性の高いホテルを目指したものだ。確かに従業員は少なくて済むので、生産性は大幅に向上する。

 

・アマゾンが指向しているのは究極の生産性であり、経営者のみ、すなわち従業員ゼロで、米国全土の流通を担うのだ。企業から自動運転トラックにより商品を受け取り、巨大倉庫は機械で一括管理し、インターネットで注文を受け、配達はドローンだ。この究極の生産性により、アマゾン以外も含めた流通業者である数百万人の雇用は消失するのだろう。 

 

〇生産性が急上昇していけば、雇用は減少していく。これは貧富の格差を拡大させることとなる。すなわち、仕事に就ければ高い生産性による給料獲得の一方で、以外の人は職に就けない状況になる。その結果、株主中心の資本主義は修正され、次第に大きな政府に移行していくこととなる。その際には大きな混乱を招くだろう。

 

〇日本では非効率性を保ってきた(この意味は利益至上主義ではない、ということ)。この非効率性が、ある意味で雇用者を守ってきた。ただ、今後はグローバル化推進で、見直されている。すなわち、大手企業のなりふり構わない利益至上主義だ。

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〇日本でも今後、生産性の向上が急上昇していくだろう。大企業は、これに向けて着々と準備を進めてきた。すなわち、非正規雇用の増加だ。正規雇用者は簡単には解雇できないが、非正規雇用者は簡単に解雇できる。景気の良いときは雇用を増やし、生産性が向上する、もしくは、景気が悪くなったときに解雇することになる。これは、スペインで行っているのと同じ。

 

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〇生産性向上に伴い日本でも雇用数は減少していくだろう。ただし、生産人口自体が減少していくので、他国よりも大きな混乱は生じない可能性が高い。これが日本の人口減少によるボーナスなのだ。(ただ、これは移民政策により移民を大規模な受け入れを行わない前提だ。将来の若者の職の確保のためには、移民の増加は反対すべきなのだ。)