日本経済新聞が企む消費税増税

令和4年12月24日付日本経済新聞「将来世代へ財政の規律を取り戻せ」と、社説で将来の消費税率引き上げの痛みを伴うことが必要と述べた。この社説の後、少子化対策で、自民党税制調査会で幹部を務める甘利前幹事長は、将来的な消費税率の引き上げも検討の対象になるという認識を示したこれまでの10%の消費税増税日本経済新聞の世論誘導によるものだ。2017年の消費税率10%への引き上げ検討時には、(認識しているだけでも)日本経済新聞は1面に2日連続して日本の財政の不安と消費税増税の必要性を訴えた。今回も12月の社説に呼応するように消費税増税の必要性が話題になっていて日本経済新聞の消費税増税誘導は成功しているように見えるのだ。

過度な財政支出は、インフレとその結果の金利上昇を生じさせるのは日本経済新聞の言う通りだが、それはGDP比の負債残高とは全く関係ない。財政支出が過度なのか・通貨の信認が危ういのかは、(ディマンドプル型もしくは国内での供給力低下によるコストプッシュ型の)インフレ率または経常収支で判断すべきだ。米国は新型コロナでの過度な財政支出(それにより大恐慌は防げた)により、現在ディマンドプル型のインフレになっていて、それはFRBの金融引き締めにより今年中には落ち着く可能性が高い。ディマンドプル型のインフレは、金融政策が有効に機能することが示された。一方で、金利が低い状態でのデフレにはLSIM曲線で示される通り効果がなく(いわゆる流動性の罠、この事実も黒田日銀の異次元緩和で既に示されていることだ。デフレには積極財政により、モノに対して通貨価値を引き落とし投資を活性化させることが重要なのだ。

日本でも米国ほどではないが新型コロナを受けた積極的な財政支出が行われ、今の物価上昇につながっている面はある。これは、日本での財政支出で消費者・企業の貯蓄が増加、そのため消費者は物価上昇でもモノを買っていて(そのため企業も物価を上げられる)、企業の賃上げにもつながっている。これらは新型コロナでの積極財政の効果なのだ。この積極財政を続ければ、より消費者の貯蓄が増加し、それが消費に回り、企業の収益が増え、企業が新規分野や人に投資、経済不安が減れば人口増にもつながる。これまで日本経済新聞主導による緊縮財政・消費税増税で(回復してきていた)日本経済を何度も何度も何度もデフレ・景気悪化に向かわせ日本経済を叩きのめした。デフレは人口減少につながる恐ろしい「ゆでガエル」なのだ。日本のため、今年は積極財政や消費税引き下げに進展することを心より願う。

フィンチ