日本企業とデフレマインド

日本経済新聞のコラム「大機小機」を読みました(2022/8/27)。コラムでは、新型コロナを受けた生活困難者以外に対する豪華な旅行費用補助などの財政支出を当然と考えて要求する人々の増加が深刻な問題、と吾妻橋氏は言う。なので、家計がどの程度、貯蓄を増やしたのか調べてみた。

 

家計が資金余剰なのかは、日銀が定期的に公表している資金循環資料でよく分かる。

まずは米国から。

米国はGDP比15%を超える財政支出を行い、その分家計の貯蓄も増えてる。

 

日本は、10%を超える財政支出を行い、米国と同様に家計貯蓄も増えている

米国との大きな違いは、日本企業が大きく資金余剰になっていることだ。日本企業が投資や労働者への分配をこれまでしてこなかったことが良く分かる。

日本は、政府支出と輸出超過で、家計と企業の貯蓄を賄ってきた(これらはゼロサム)。なお、財政過多の場合、インフレ懸念はあるが、通貨発行権があるので財政破綻はない

これほど企業が貯蓄過多なのは、デフレだからだ。デフレはモノの価値が下がりお金の価値が上がることを言う。お金の価値が上がっていくので、投資せずに貯蓄した方が得なのだ。そのため、インフレにより名目ベースでお金の価値を下げていけば(なお、供給不足や生産性低下によるモノの価値の上昇ではない)、企業の支出も増える。今の日本には財政支出過多の状況が望ましいのだ。

 

 

(参考)2017/9投稿分

 

フィンチ