日本経済新聞が導いたデフレという「ゆでガエル」

10/26付日本経済新聞のコラム大機小機で、日本の危機は英国より深刻との主張があった。効果も薄いのに長年放漫財政を続けた日本政府を批判し、将来世代のツケ(税負担として自らに返ってくる)といういつもの主張だ。また、10/29の社説では政府の29兆円の補正予算に対して財政規律が危うくなると痛烈に批判した(昔は財政悪化で「金利が上昇する」と言っていたが今は「(本当は上がるはずなのに)日銀が抑えているので金利が上がらない」との日銀批判)。日本経済新聞の放漫財政との主張により、国際的に生産性が上がる(物価低下)一方で、物価に対する通貨の目減りがなされず(貨幣の価値を高め)、デフレが続き日本は「ゆでガエル」状態となってきた。インフレになれば、通貨価値が目減りすることで、(貨幣で保有せずに)様々な投資に回るはずだが、デフレ下は価値の高い通貨を持つことを推奨することになり経済が停滞するのだ。今回でも米国で証明されるが、過度な需要によるディマンドプル型インフレは金利上昇による金融政策で抑制できる。日本の消費者マインドの冷えきった需用低迷によるデフレは、金利が低い状態では金融政策は全く効果がないため、財政支出が必要なのだ。なお、インフレが10%を超える英国は米国のように過度な需要ではなく、ブレグジットによる供給力低下も大きいので法人税減税は誤りで、一時的な物価対策にとどめ、ブレグジット・移民政策の緩和などの供給力を引き上げる政策が望ましいと考える。

いずれにしても、政府の今回の財政支出発表ではほとんど金利や為替は反応しなかった。これまで何度も、何度も、何度も、財政破綻を煽って10%まで消費税を引き上げ(今のインフレの5倍水準)庶民を苦しめデフレを進めた日本経済新聞。米国のインフレは金融引き締めにより1年経たずに収束してくるだろう(それほど金融政策は効果的だ)。その際に、コロナ明けインバウンドや円安効果で好況になるであろう日本経済の下で、今回の政府の財政支出29兆円が正しく、日本経済新聞は「またオオカミ少年だった」と改めて認識し、主張がマクロ経済理論に基づいていないので「経済新聞」と名乗っていいのか?と疑問に思うことになるだろう。

フィンチ